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執筆者の写真林好子

変えてもらうのではなく、生徒さん自身が変わるんです!!


アレクサンダー・テクニークの個人レッスンに興味がある方から最もよく受ける質問の一つが “レッスンの頻度と回数” についてです。

「どれくらい受けたら変わりますか(効果が得られますか)?」 とか 「どれくらいの頻度でレッスンが必要ですか?」 などとよく聞かれます。

正直に理想をお答えするとすれば

「週に1回ぐらいのペースで、繰り返し受ければより効果はあります。一生涯でも学んでいただけるものですが、少なくとも5回、できれば10回ぐらいは受けていただいたらどうでしょうか?」

となるのでしょう。

まあ、当然と言えば当然です。

何を学ぶにせよ、頻度を増やして継続して学べばより上手くなるのは誰でも想像できることです。

ただ、アレクサンダー・テクニークの個人レッスンに関しては、今のところ私はこんな風にお答えしています。

「短い頻度で来られた方が効果が得られやすいのは事実ですが、ご自身の生活スタイルに応じて、必要かつ可能なタイミングで受けてください。レッスンを継続するのも止めるのもご自身で決めていただいたら大丈夫です。」

決してビジネス的にはよろしくない回答ですが、質問されたらそんな風にお答えしています。少なくともレッスンを受けたことのない方に対しては。

その理由はいくつかあります。

一つ目は、「自分の使い方を学ぶ」「習慣をやめる」ということに終わりはない、からです。

そんなことを言うと、じゃあ、レッスンを受けても結局習慣は変わらないのね、と納得がいかない方がおられるかもしれませんが、自分の使い方を学ぶということに関して、「できた」「できていない」あるいは「これで大丈夫」「まだダメ」と白黒はっきり区別できるものではないと思っています。

それは、ただ深めていくものだと思います。

合氣道などの武道や音楽(演奏)なども同じです。

ここまでできたらゴール、完成というものはありません。

鍛錬し、その質をただただ深めていくものです。

とはいえ、合氣道であれば初段とか二段とか一つの区切りはあります。

そして、それらを取得すると満足してやめる(終わる)人もおられます。

その人にとってはそれが目標・ゴールであり、達成できたとされているからでしょう。

ただそれが、他の人にとって完成・完了・達成といえるかは別ですし、ある人にとってはその区切りがスタートかもしれません。

誤解して欲しくないのですが、途中で辞めてしまう人(初段などの一つの区切りで終わりとしてしまう人)が悪いと言っているのではありません。

個々によって目標は違って当然ですし、終わりをどこにするかもその人の自由です。

私がお伝えしたいことは、私が生徒さんに変わってゴールを決めてあげることはできない、ということです。

もちろん、アドバイスを求められれば専門家の立場としての意見を述べることはできますが、それでも最後に決めるのは生徒さん自身です(少なくとも私はそう思っています)。

そして、生涯通して学んでいただいても結構ですし(もちろんその価値はあると思っています)、回数を決めて、あるいは目標を決めて納得した時点で終わっていただいてもいいと思っています。

いずれにせよ、生徒さんが納得して自身の意志で決めることが理想ではないでしょうか。

そして、自分で決められることが「自分の使い方を学ぶ」「自分が変わるんだ!」という上で大切になってくるように思います。

こういった理由から、私はアレクサンダーテクニーク教師として、生徒さんに「◯回レッスンをしたら大丈夫です」とか「少なくとも◯回受けてください」と言ったりしません。

ちなみに、一回きりで終わっていただいても良いと思っています。

アレクサンダーテクニークに興味があって経験してみたい、という方は歓迎しています。

そして実際受けてみて自分に必要だと思えば継続すれば良いし、そう思わなければ1回きりでいいと思います。

もちろん、1回でアレクサンダーテクニークの面白さや醍醐味が理解できるとは思いませんが、経験を通して直感的にこれは良いとか、これは自分には合わないというのが分かれば即決していただくのもいいかなと。

世の中、いろんな種のセラピーやボディワークなどがありますし、ご自身に合ったものを見つけていただくのが良いと思っています(本当にそう思っています)。

アレクサンダーテクニークが他のワークと比べてどうだ、というのではなく、相性というものがあるからです。

インド料理が食べたい人に和食を勧めて良い反応が得られないということであって、決して和食がインド料理より劣っているというわけではありませんので。

少し話が逸れてしまいましたが、

二つ目の理由は、レッスン以外の時間が大切、ということです。

実際の話なのですが、年に1度の頻度でワークショップに参加し学んでいる方がおられるのですが、翌年にお会いしハンズオンすると、驚くほど変わっている(良くなっている)という方がおられます。

あまりの変化ぶりで、「この一年間、レッスンを受けておられたんですか?」と何名かの方に尋ねたことがあります。

その方たちに共通しているのは、学んだことを日常生活で使っていた、練習していた、ということです。

私はアレクサンダー・テクニーク教師になるためのトレーニングを受けていたので、もちろん彼らと圧倒的な学ぶ時間の長さ(量)の差がありますが、“あれだけの時間しか学んでいないのに!?”と驚かされると同時に、我が身を振り返って反省したのを覚えています。

つまり、一概に受けたレッスンの時間の長さだけで効果は語れないということです。

確実に言えることは、レッスン以外の時間が大切ということです。

レッスンに頻回に通いその場で上手くできても、学んだことを日常生活の中で使わなかったら上達の度合いは下がってしまいます。

習慣とは毎日繰り返しやってくるものなので、日常で実践練習することがとても大事です。

ですから、レッスンに来られた時は宿題を明確にして持ち帰っていただくといいかなと思います。

三つ目は、アレクサンダー・テクニークを学ぶことで暮らしがより豊かなものになって欲しいという理由からです。

多くの日本人の方が時間に追われています。

やらなければならないことが山積みで、何かをすれば別の何かを諦めないといけなかったりします。

そして、その別の何かが睡眠だったりすることは多々あります。

だからレッスンを受けることでその人の暮らしがより良いものになるのか、あるいはより切迫したものになるのか、天秤にかける必要があります。

忙しい中でもレッスンを受けることで、体調がよくなる、よく眠れる、あるいは時間の使い方がうまくなる(時間の使い方についての習慣が変わる)といった効果は十分期待できますし、そんな方にはちょっと無理してでも時間を作ってもらうことをお勧めします(ちなみに私はこのタイプでした。日本にいる時はかなり忙しく、疲労を蓄積してクラスに行って、帰りには元気になっているという感じでした)。

でも、寝る時間がなく疲労困憊、レッスンを受けることで生活がより切迫したものになるという方には、まずは睡眠を確保していただく必要があると思います。

アレクサンダーテクニークのレッスンが、今の生活においてどのくらいの優先順位にあるのか自分自身で見定め、その頻度を決定できるようになっていただけると良いなと思ってます。

そして、そんなことができたらより上手く習慣や自分の使い方を変えられるような気がしています。

長文にわたって書きましたが、

要は、レッスンを受けることに生徒さん自身が責任と主体性を持ってほしいということが伝えたかったのかと思います(回りくどくなってしまいましたが)。

「習慣を変える」「自分が変わる」ということは安易に「難しい!!」と言いませんが、「容易ではない」というのは事実です。

だからこそ、生徒さん自身の決意が大切です。

そして、生徒さん自身が変わるんです。アレクサンダー教師が変えてあげるのではありません。

もちろんアレクサンダー教師は生徒さんの習慣をやめる(変える)ためのお手伝いをします。

教師がいなければ自分では気づかない、変わらない習慣があるのも事実でしょう。

でも本人が変わるという意志なしにはどんな習慣も変わらないように思います。

ですから、ぜひ、強い意志、ご自身の決意とともにレッスンにお越しください。

そして、私も強い決意をもって全力でサポートします。



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