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執筆者の写真林好子

私の強みは、私の弱み

アレクサンダーテクニーク教師としての私の強みは、私の弱みです。

強み=弱み???

どういうこと?という感じですよね。

でもそうなんです。

アレクサンダー・テクニーク教師として体の使い方、自分の使い方を指導している私ですが、決してダンサーのように美しく動けるわけでもなく、自分自身をうまく使いこなし自分が納得いく人生を送ってきたわけでもありませんでした。

むしろその逆で、体に関しては、小学校の頃には姿勢が崩れ肩こりがありましたし、大人になってからは慢性的な緊張や不快感にひどく悩まされました。

また、私生活でもそうで、日本を飛び出し海外生活をしているとなかなか信じてもらえませんが、長年新しいことにチャレンジするのが怖くて自分にブレーキをかけてばかりでした。

アレクサンダー教師になりたての頃は、そんな自分が人様の前に立って体の使い方、自分の使い方を指導することに抵抗がありました。

アメリカで一緒にトレーニングをした仲間にはダンサー出身者が何人もいて、見本として美しく動ける彼らが羨ましかったですし、音楽家のプロとしても活動している教師仲間は、音楽家としてもアレクサンダー教師としても堂々とミュージシャンに指導していて、「それに引き換え自分は…」と落ち込んだりもしていました。

でもですね、私が師匠から教わったことの一つが大きな助けになっていました。

それは、「自分(教師)が成功するのではなく、生徒が成功することを考えなさい」という教えです。

 

指導者の中には、自分がどれだけ凄いか見せつけようとする人がいます。

自分(教師)の素晴らしいパフォーマンスを見せることに必要以上に時間やエネルギーを使ったり、どれだけ自分が知識人か見せつけるためにあえて難しい言葉を選んだり・・・。

でもこれらは、教師の成功であって生徒の成功(成長)につながるかは別です。

教師の役割は、生徒が学び成長するサポート。

私が生徒さんの前で美しく動き感動されることを求めるのではなく、どうやったら生徒の悩みが解消され変わっていけるのか、そこにフォーカスを当てれば良いということにあるとき気づきました。

体や自分の使い方に苦労したことない人は、簡単に体の使い方や自分の使い方を変えれると思ってしまいます。これだけ知っていれば良くなる!みたいな風に教える人もいます。

天才肌の人は悩まなくてもできてしまうので、できない人の気持ちも、どうやったらできるようになるのかも分かりません。

でも私自身は自分が心底苦しみ苦労した分、試行錯誤し失敗経験と成功経験の両方から学ぶことができました。

今振り返ると失敗体験から学んだことの方が明らかに多いのです。

そして、生徒さんがあれが難しい、こんな失敗をした、うまくいかなかった・・・と言ったとき、「分かる分かる!」と頷けるし(生徒さんが言う失敗談は大抵経験してますので、笑)、じゃあこうしてみましょうという答えが自然と頭に浮かんできます。

自身の失敗談を用いることでより分かりやすく説明することもできます。

そして、分かる人、できる人にだけ分かるように伝えるのではなく、できない人、なかなか理解できない人にどうやったら伝わるのか、どんな人にも分かりやすく伝えるというのが、私の教師としてのこだわりの一つになっています。

実はこれも私の弱みから来ています。

私は学生時代、国語が大の苦手でした。国語がなかったら偏差値がグッと上がるぐらい、点数を引き下げていました。

今でこそ本をたくさん読みますが、学生時代はほとんど読んだことがなく、なんせ国語が嫌いだったのです。

そして、日常の会話でも、周囲の人から「(私が)何を言っているかわからない」と言われる始末・・・。

ですから、言葉、日本語にとても抵抗がありました。

日本語でも難しいと感じていた私なのに、今度は海外に飛び出しました。

英語は、今も以前も苦手です。

日本語訛りの英語で相手に伝わっていないことは多々あるし、トレーニングでは早口で話すアメリカ人のコメントを聞き取るのに必死・・・

でも師匠は、言葉というものを伝えるためのツールとして、いつも私に伝わるように伝えてくれたのです。

「言葉で伝える」、というより、「伝えるための言葉」、そんな風に思いました。

自分が言葉というものが苦手で、コンプレックスがあったからこそ、言葉選びはとても注意を払います。

特に仕事中は、”私が言っていることは基本伝わっていない”、”自分の世界でしか通じていないかもしれない”、という前提に立って、なるべく分かりやすく話すようにしています。

するとですね、何年か前に理学療法士の友人に講習会の講師を依頼され講義をした後、「好子さんの強みは言葉を巧みに使うところ。とても分かりやすい」という感想をいただきました。

正直びっくりしました。

と同時に、自分が苦手としていたことを褒められたことがとても嬉しかったのです。

いま、オンラインでも指導を行なっていますが、オンラインは触れることを通じて伝えることができないので、言葉というものが重要なツールになります。

それゆえ、私の言葉へのこだわりは以前より強くなっている気がします。

そして、オンラインで学んでくれている生徒さんに以前アンケートを取ったのですが、半分以上の方が「とにかく分かりやすい」「豊富な語彙力でいい方向へと導いてくれる」といったように伝え方についての感想をくださいました。

そんなわけで、私の強みは弱みでもあるのです。

以前は自分の弱みと向かい合っては凹んでいた私でしたが、今では、自分の弱みも悪くないな!と思えるようになりました。

最後に、

マスターヨーダもこんなことを言ってます!!

学んだことを伝えよ 強さと熟達の業(わざ) 弱さと愚かさ 失敗も伝えよ、それが大事じゃ 失敗こそが最高の師 ルーク、わしらは超えられるためにこそある それこそが全てのマスターの真の責務じゃ

私の失敗を踏み台にして!?、生徒さんがどんどん飛躍していってくれたら本望です!!


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