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執筆者の写真林好子

1回の新しい経験の大切さ


先日、初めて個人レッスンに来られた方からこんなコメントをいただきました。

「マッサージしたわけでもないのに、なんでこんなに体に軽いんですか!?」と。

「それはですね、普段、◯◯さんが自分で重くしていたのをやめたからなんです」とお答えしました。

アレクサンダーテクニークでしていることはやめていく作業。

普段自分で緊張させて自分で重くしているのでやめていくのも自分。

教師はそのやめていく作業をお手伝いしているのです。


ではなぜ、今までずっと重くしてきたのか? なぜ、軽くしてこなかったのか。

それは、自分がどれだけ自分を重くしているのか気づいていないから。

ではなぜ、自分が重くしていることに気づけなかったのか?

それは、ずっと同じ状態だったから、です。

例えば、

目の前にぬるま湯が入ったバケツがあったとします。

その中に手を入れた時に、なんと表現しますか?

冷たい? 熱い? ぬるい???

その前に熱い水に手をつけていた人であれば「冷たい」と答えますし、冷水に手をつけていた人であれば「熱い」と答えます。

あるいは、自分の頭の中で想像していた温度と比べて実際の温度がどうかと比較して答えます。

つまり、相対的なものの存在によって初めてそこに「冷たい」「温かい」が生まれます。

体の「重い」も同じです。

いつもより「軽い」経験があって初めて「重い」が存在します。

そして、「重い」に気づいて初めてそこから抜け出そうとする意志が生まれます。

でも一つの経験しかなければ、つまり、いつも重い体の使い方をしてたら、「重い」に気づかず抜け出すチャンスが生まれません。

ですから、たった1回でもいいので明確ないつもと違う経験、つまり軽くなった体を経験をしていただくことを私は大事にしているのです。

たった1回!?と思われるかもしれませんが、時にその1回がとてもパワフルなんです。

そして習慣を変える上で必要不可欠と言っても過言でありません。

とはいえ、そのたった1回を自分で経験するのは至難の業です。

なぜなら、先に述べたように、気づいていないから。

しかも、どうやって?という手段を本人が大抵分かっていません(分かっていたら既に変わっているので)。

だから、他人の助けも借りてでもいいので、いつもと違う経験をする。

そこが動きの癖を変えていく上で大事だと思っています。

たくさんのいつもと同じ動きより、たった1回の違う経験、それを大事にしてみてください。

そして、もし新しい経験がしたいと思ったらぜひレッスンを体験してみてくださいね。


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