来月、師匠ロビン・アヴァロン(アレクサンダーテクニーク教師)が5年ぶりに来日するということでワクワクしています。最後に彼女に会ったのが何年前なのか、どこだったのか(アメリカ・日本・ヨーロッパのどこか)、すっかり忘れてしまっている自分がいますが、とにかく久々の再会が楽しみです。
彼女から学んだことは数知れません。今日は彼女から学んだことをシェアしたいと思います。
彼女は即興で教えるのがとても上手な教師です。トレーニングクラスではその場で生まれた言葉、アイデア、練習が溢れていました(実際にどうだったか分かりませんが、私にとってはその場で生まれたと感じるのです)。
とはいえ、彼女が何の準備もせずクラスに臨んでいたかというと、私には全くそうは思えないのです。彼女はトレーニング生にとって何が必要か、どんなことをテーマにしようか、どんな練習をしようかを考え、準備をしていたと思います。
ただ、その事前に準備したものを、そのまま提供するということがないのです。別の言い方をすると、過去に作り上げたものを現在にそのまま当てはめるということをしないのです。
クラスの準備をしたら、最後はその場に目覚めている準備されたじぶんがいる。そして、事前の準備からも自由になり、その瞬間瞬間に応答し続けていく。そして、二つの準備(事前に準備されたものと準備された自分)が混じり合い、その瞬間にしか起こらない唯一無二のクラスになるのです。だから、生徒である私は、今日この瞬間にしかない学びを見逃すまいと目覚めていく、あるいは、目覚めた彼女を前に自然と目覚めていくのです。
アレクサンダーテクニークの創始者であるF.Mアレクサンダー氏は、アレクサンダーテクニークについて一言で表現するときに「Readiness」という言葉を使われたことがあったそうです。
Readiness は Readyの名詞で、準備という意味です。
Are you ready? (準備はいい?)とか、I'm ready!!(準備はできてるぜ!)とかという表現で用いられるReady です。
もう一つ準備を意味する英語として「Prepare/ Preparation」(前者は動詞/後者は名詞)があります。これは、特定の何かに対して準備するという意味合いで用いられます。
アレクサンダーテクニークは、余分なことをやめ、今この瞬間に目覚め、あらゆる刺激に応答できる自分でいる「Readiness」を目指すものと言えます。
そして、教えるときの彼女はまさにReadinessでした。それが即興のようなクラスを生み出すのです。
かといって、Prepareが不要かと言われるとそうではありません(と私は思っています)。十分な準備がなければ大抵の人は不安になりますし、本番でReadinessの状態から遠のいてしまいます。かといって、Preepare(事前の準備)だけに一生懸命でそれに捉われてしまうと、本番の自分自身はその場その瞬間におらず、つまらないものになってしまうのだと思います。
おそらくこれは教えるということだけでなく、パフォーマンスをされる方にとっても同じではないかと思います。Prepare(事前の準備、つまり練習)は大事。と同時に、最後は自分の準備ができていること(Readiness)が大事。
両方の準備(prepare と ready )が混じり合った時、素晴らしいものがその瞬間生まれるのだと思います。
今から何年前だったでしょうか、私が指導を始めた頃に、ロビンが「必要なものは自分の中にある」といった言葉をかけてくれたことがありました。教えることに不安がいっぱいで、事前の準備(Prepare)に一生懸命になりがちな私に、「最後はReadinessでいなさい。そうすればこれまで学んだこと、自分の内側にある必要なものが出てくるから」というメッセージだとと受け取りました。
いまも彼女の姿勢、言葉から学んだことを大切にしている自分がいます。そして、師匠から学んだものが年々自分の中で深まっている気がしています。改めて師匠に感謝です。
とどまることを知らない師匠なので、いまの師匠は私のトレーニング時代の頃とまた変わってるんだろうと思います。師匠の現在地が楽しみです。そして、私の現在地を報告するのも楽しみです。
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