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執筆者の写真林好子

成長に繋げる「できる・できない」の捉え方


今日は、自分の成長や上達に繋げるために「できた・できていない」「わかる・分からない」をどう扱うか、個人的な考えについて書きたいと思います。




一見、身体の使い方やパフォーマンスの向上と直結しないテーマのように感じられるかもしれませんが、大いに関係しているように感じていますし、動きという枠に捉われずに様々な学びに応用できる内容だと思うのでご興味がある方はお読みください。




生徒さんから時々こんなコメントを聞きます。

動きを探求する中で、「自分ができているか、できていないか分からない」「分かっているのか、分かっていないのかわからない」。

そして、できているかできていないのか、分かっているのか分かっているのかわからないことに悩んでおられるんですね。




でも、個人的な意見として、それを知る(わかる)こと自体やどっちなのかわからず悩むことにあまり意味がないような気がしています。そして、できているかできていないかわからず悩んでいる人は、私自身と根本的な捉え方が異なるのだと思います。




おそらく、悩んでいる方は、「できる・できない」「分かる・分からない」を2択と捉えているのではないでしょうか。または、明確な終わり(枠)があると思っているのだと思うのです。図式化するとこんな感じです。







でも自然である人の動きに関して、本当にそのように捉えて良いのでしょうか。 例えば、音楽やダンス、私がやっている合氣道などにおいても、どこまでもその質は深めていけますし、その追求は終わりのない道のような気がしています。もし「できた・できない」どちらかで答えるとすると、それは絶対的な評価によって導かれるのではなく、相対的な評価、つまり昨日の自分より今日の自分の方ができた、さっきのやり方よりこっちのやり方をやった方が上手くできた、そういうことでしかないのかと思います。また、仮に「できた」としても、それが唯一の正解でないかもしれないし、もっと良い質でできる可能性があるかもしれない。




経験に限らず知識もそうです。私たちは自然(自然である人やその動き)をすべて理解したなんて思うのはおこがましいと思うのです。知らないことの方が圧倒的に多い(と個人的には思っています)。以前、広大な海にポツンと浮かぶ島のイラスト付きでこんなメッセージを見たことがあります。人が持っている知識は海に浮かぶ小さな島ぐらいなものだ、と(確か、英語のメッセージでした)。本当にその通りだなーと思いました。



もし知識に枠があるという前提でいると、学んだ分だけ分からないことが減っていく理屈になります。でも実際は知識は無限にあって、学べば学ぶほど世界は広がり、広がった分だけその外側にある知らない世界の存在に気づく。つまり、知らない世界は減っていくより増えていく感覚なのではないかと思うのです。







そういったこともあって、私自身は、生徒さんが「できた」「わかった」とコメントしても構わないし、「できない」「分からない」とコメントしてもいいと思っています。その人のその時の経験が感触として、できたと思えばできたでしょうし(仮にまだできていない部分はたくさんあったとしても)、できていないという感触であればできていない(仮にできた部分があったとしても)で良いのだと思います。



大切なのは、自分の成長や上達にどう作用しているかではないでしょうか。「できた」と思うことで探求をやめてしまうのであれば助けになりませんし、逆に、達成感や喜びでさらに学ぶ活力が得られるなら助けになります。「できていない」も同じです。ただ悲観したり面白くないと思ってしまえば意味がないですし、”ここができていないからどんな風にしたら修正できるか探求してみよう”と学ぶ原動力になれば助けになります。そういうったことから、どっちを選んだ方が良いというのはないような気がします。



ちなみに、この「できた・できない」「わかった・わからない」の捉え方も人それぞれ習慣があるように感じています。できない部分、分からない部分に目が向きがちな人(ネガティブな視点に立ちやすい人)と、できた・わかった部分に目が向きがちな人(ポジティブな視点に立ちやすい人)。先にも述べたように、どちらが良いと一概に言えないので、どちらでも良いと言えば良いのですが、個人的には一度習慣でない視点に立ってみるのは良いのではないかと思っています。特に、探求が面白く感じていない方、練習を苦行のように感じている方、上達が止まっている方は、根底にこういった捉え方の習慣が影響していることもあるので、違う視点に立ってみると自分が学んでいるものと新しい向き合い方ができるかもしれません。



ついでに申しますと、私自身は、ネガティブ視点、つまり「できない(できていない)」「分からない(わかっていない)」ところに目が言ってしまうタイプです。私の場合、何事も上達・成長に終点がないという前提に立っているので、常に伸び代がある、つまり基本できていない部分があるということになるのは自然な視点な一方、習慣によって導かれた視点(捉え方)でもあると思っています。そして、この視点が自分を向上させようとする原動力になってきたのは事実ですが、一方で、長らくの間、できていない自分、分からないことだらけの自分に悲観し苦しんでもきました。でも今は、基本、できていないものとして自分を見つつ、じゃあどうやったらさらに上手くできるようになるだろう?とそこにエネルギーを注いでその探求を楽しんでいます。そして以前に比べできた・わかった部分にも目を向けつつ、成長した自分にも喜びを感じている自分がいます。



そんなわけで、合氣道のお稽古もお仕事上の探求も楽しいです(もちろん、うまくいかず苦しむこともありますが、それすらある意味楽しいです)。



ちょっと哲学っぽい話になってしまいましたが、動きを学ぶ、身体の使い方を変える、パフォーマンスを向上させるという上で、あるいは、身体に限らない分野においても、意外とこういう部分で躓いている人がいるように感じたのでシェアさせていただきました。何か助けになれば幸いです。



ちなみに今回のテーマに関して、書き足りない部分があるので、またシェアできたらいいなと思っております。


<記事はメルマガより抜粋>



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