アレクサンダーテクニーク教師、理学療法士の林好子です。
ブログにお越しくださりありがとうございます。
さて、今日は「意識の弊害と恩恵」についてお話ししようと思います。
アレクサンダーテクニークでは、ただ身体を動かすということをしません。無自覚で行っていた行為や動きに意識を用いることで、新しい経験を導きます。そして、無意識な動きの中で起こっていくる習慣を根本から変えていきます。
つまり、そこには、無意識による弊害と、意識による恩恵があることを意味します。
ただ、ここで注意したいのは、「意識(する)」は常に助けになるかというとそうではないということです。動きを邪魔するものにもなり得ます。
私たちが主観的にも客観的にも動きの中に不自然さ、ぎこちなさを感じる時というのは、その背景に「意識」の邪魔が存在していることがあります。また動いている当人にとって「意識する」ということ自体が窮屈さを感じさせることもあります。
ゴールとの関係性で見ても「意識する」ことが助けになると言い難い面があります。目指すゴールが「余分なことがない状態」、別の表現にすると「自然体」や「シンプルであること」だとすると、「意識する」自体がやっていることが増えるという風にも捉えらます。ですから、ゴールから遠のく行為とも言えます。そういう点において、意識とは助けでもあり弊害でもあります。
赤ちゃんは自然体そのものです。意識的(意図的・作為的に)に自分の身体をコントロールしようということがありません。そして、その自然な有り様(作為のないもの)に、私たちは自然と惹きつけられるのだと思います。
ただ、赤ちゃんが自然体であるのは、大人が持ち合わせている意識・自我・知性・理性といったものがまだ備わっていないから故に成せるものです。そういう意味で、私たちは赤ちゃんに後戻りすることはできないのだと思います。前に進むことによって、つまり、一旦意識を用いて余分なものを手放していく過程を経て、自然体(余分なものがないシンプルな状態)というものに向かっていく必要があると私自身は考えています。決して、無意識で習慣的にやっていくことを無意識のままに変えていくことや自然体に近づくことはできないのだと思います。もし無意識の中に居続けたら、それは癖の積み重ねになり、ゴールからさらに遠のいていくはずです。
以上のことから、余分なものをたくさん身につけてしまった私たちは、意識というものを介してそれを手放していく。「意識する」という「する」によって「しない質 Non -doing」を得るプロセスが必要だということです。そして、大切なことは、意識も無意識も、助けにもなれば邪魔もするということを知っておくこと。その上で、意識の匙加減を学んでいく。自身の助けになるように「無意識から意識的に」「意識的から無意識に」を選択しつつ、意識の使い方自体含めて動きを鍛錬していく。それを繰り返す中で、望む動きが身に落としこまれ、(意識的になった先にある)無意識でもそれが起こってくるのを期待する。赤ちゃんと本質的に違う存在でありながらも、ある点では共通する「自然体」というものを目指していくのではないかと思います。
ちなみに今回、「無意識」「意識」という言葉を使ったが故に、その境が明確な感じがするかもしれませんが、決して簡単に線引きされるものではないと思っています。ただそれは言語の限界というものでもあるのでご了承ください。
そして、最後に、意識の邪魔というものを減らすために、「無意識」という選択をする方もおられるかもしれませんが、意識の匙加減という点で、個人的には意識を薄め・広げていくということが助けになると考えています。「意識する」というと意識が濃く・狭くなりがちですが、それを薄め・広げることで、意識の囚われや弊害を減らし、助けと変えていけるのではないかと思います。それについての深掘りは今日は避けておきますね。
今日書いたことは今の個人的な考えなので、みなさん自身が自分なりに考え、経験を通して答えを見つけていただけたらと思います。私もこれからも探求の旅路を進みながら、自分なりの答えを見出していきたいと思っています。
〜メルマガより抜粋〜
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<余談>
一緒に学んでくださる新たなメンバーが加わり、コミュニティメンバーは北は北海道、南は沖縄となりました。メンバーがいる地を訪れながらリトリートやワークショップなど楽しいイベントをやっていきたいなと思う今日この頃。「やりたい・あったらいいなを実現する」を今年も達成していきたいと思います。
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