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執筆者の写真林好子

体の癖を変えるためにやってほしいこと



アレクサンダーテクニーク教師、理学療法士の林好子です。

ブログにお越しくださりありがとうございます。



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さて今日は、身体の癖を変えるためにやってほしいことについてお話ししたいと思います。



身体の使い方(癖)に関して、大きく二つのパターンがある(と考えている)。


一つは新しいアイデアや概念が生まれることで、パッと変わるもの。

もう一つは、体に染み込んだもので丁寧にコツコツと向き合っていく必要があるもの。



前者に関しては正直そんなに難しくありません。必要な発想・概念を知らなかっただけなので、必要なアイデアを入れれば比較的簡単に動きを変えることができます。何年も努力してうまくいかなかったことが、一瞬で変わることもあります。でもそれを知らないと、何年も、時に数十年も身体と格闘することになります。



少し前にレッスンに来られた方は、10年以上演奏時の座り姿勢に違和感があり悩んでおられました。姿勢が安定しないので演奏もうまくいかず、1日何時間も練習しているのにうまくならないとのことでした。レッスンではあえてハンズオンをほとんど使わず、いくつかのアイデアを積み重ねていき自分で姿勢を整えてもらいましたが、これまでになく楽に安定して座れたことに驚かれていました。



こういうのを経験すると、貴重な時間を失わないためにも、ある程度の知識(頭で理解する)というのは大事だと感じます。



一方、体に染み込んだ癖については、発想転換だけではうまくいきません。コツコツと反復練習が要求されます。かといって、ただの反復では癖の増強にしかなりません。身体に染み込んだ癖をほどき、新たな動きを定着させるための反復練習だということを忘れてはいけないということです。あるいは、コツを掴み一気に上達を加速させるためにコツコツとやっているという意識を持つのでも大切だと思います。




癖の増強と癖の修正、ここには雲泥の差があります。にも関わらず、ここに注意を払わず、どちらに転んでいるか気づかないまま反復練習したり、癖の改善に向かうための(つまり、上達につながるための)明確な意図や工夫を持たないまま反復練習をしている人が決して少なくないように思います。それでは癖は変わらない。なんせ癖は根強いですから。




反復練習といえども、そこには丁寧さが必要です。丁寧に身体・動きと向き合いながらコツコツとやる。しかしながら多くの人が「雑」に「大雑把」にやっていることが多いのではないでしょうか(私もかつてはかなり大雑把でした💦今は少しマシになってきました)。




では、癖(身体の使い方)と丁寧に向き合うということはどういうことでしょうか。具体的なことを挙げ出したらキリがないので、今日は一つだけ、「速度」の扱いについてお伝えしたいと思います。




癖というのは、自分で気づくこと自体が難しいものです。多くの人(もちろん私も含めて)が自分の動きの癖を知らない。知っているつもりでいるが、それはごく一部、大抵が不快感を感じる部分、体が明確に主張している部分についてのみで、その背景でやっていることに気づいていません。でも気づいていないことは変えられないので、丁寧に見ていく必要があります。そして、気づいたとしても変えるのは容易でない。だからさらに丁寧に確認しながら変えていく必要がある。




そこで助けになるのが「速度」、ゆっくり動くことです。




普段の速度では気付けないことを、気づける速度に落としていきます。素早く動くアスリートの動画をスロー再生することで、通常速度では見えなかった動きが見えてくるように、自分の動きもスローにすれば良いということです。ゆっくり動いて一つずつ確認する。普段注意を向けたことがない部分にも注意を向ける。それでも何をやっているか分からなかったらさらに速度を落とす。ゆーーーーーーーーーっくりと動く。何か一つでも新しい情報に気づくまでゆーーーーーーーーーーーっくり動いて、変わるためのヒントを得る。




そして、習慣に気づき、新しい試みを行う際も同じ。ゆーーーーーーーーーーっくり動く中で試みる。丁寧に、そしていつもの癖に行かないようにする。




とってもシンプルです。でも多くの人が意外とやっていないのではないでしょうか。そして、やろうとしても、意外と難しいんです。速く動きたい欲求に負けてしまう。




音楽家の方とのレッスン。身体の使い方を変えるための新しい試みを提案し、それが効果がありそうとわかると、すぐに速いフレーズや難易度の高い曲でそれを練習しようとされる方がおられます。でも身に染みついた身体の習慣は新しいやり方を簡単に覆い被せてしまいます。だから最初はゆっくりと丁寧にやっていかなければいけない。動きを確認できる速度(難易度)の曲やフレーズを選ぶことも大切です。音をいくつか出すだけでも十分かもしれません。しかしながら、この選定も安易にやってしまっていて大雑把だったりします。




ちなみに、ゆっくりやっているだけ…というのもたまにあります(たまではないかもしれない)。私が通っている合氣道のお稽古でもゆっくり動くことがありますが、いつものやり方で、型の確認程度にゆっくりやっている人がいます。型(手順)を覚える段階の初心者であればそれで良いが、それ以外の人は、ゆっくり動く意図を理解してやらなければそれも癖の増強になってしまうので要注意です。




どんな分野でも、初心者の域を超えていくと、ある程度の速度で動くこと(動けること)の気持ちよさに浸ってしまいます。でも、その速度の背景でたくさんのごまかしが起こっています。そのごまかしに目を背けないためにも、時にゆーーーーーーーーくり動いて癖に気づきながら修正していく。いつもゆっくりがベストな練習とは言えませんが(目的も手段もその都度変わるだろうから)、動きを変えるための大切な練習方法の一つであることは間違いないと思います。




ということで、ゆーーーーーーーっくり動いて、脱習慣、上達を目指してみてくださいね。




皆さんに言い聞かせているようで、自分に言い聞かせております、笑。

 〜メルマガより抜粋〜


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<余談>


誰と一緒にいるかがとても大事だなと思う今日この頃。興味深い人の周りには興味深い人が集まる。一緒にいて心地よい人の周りには、心地よい人が集まる。いま、ご縁が繋がり、良い空間に身を置くことが多い。そして、良い学びの場が続いている。おかげで、長年の疑問が解けていきそうな手応えや、次の学びのステージに向かう兆しが見えてきた。今年は飛躍の年になりそうな予感がしております!





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