アレクサンダー・テクニークで着目される頭と背骨の関係についてのお話です。何回かに分けてお伝えしようと思います。
アレクサンダー・テクニークを学んでいるというと、「首のやつですよね?」みたいな風に言われることがあります。
"首のやつ"って…。
まあ、"首ついてのワーク"と言いたいんでしょうが、いずれにせよ違います!!
どう違うか説明するには長ーくなってしまうので、こういう時はたいてい苦笑いで済ませておきます。
とはいえ、アレクサンダー・テクニークが頭や背骨あたりに着目しているのは事実です。
なぜか?
それは、アレクサンダー・テクニークの創始者であるF.Mアレクサンダー氏が発見した「プライマリームーブメント(初源的調整作用)」に由来しており、どんな動作(アクティビティ)においても、頭と背骨の関係や背骨の状態が重要だからです。
単に、肩こりや首の痛みを軽減できるとか
背骨(胴体)や首がうまく動けるようになるためではありません(もちろんそういった効果も期待できますし、それらも含んでいますが)。
どんな動作(アクティビティ)においても、頭と背骨の関係や背骨の状態が整っていることで、その動作(アクティビティ・パフォーマンス)がより機能的に効果的に行える、最大の能力が発揮できるようになるということです。
いわば、頭ー背骨は全身の動きの統括責任者と言ってもいいのかもしれません。
そんな理由から、頭ー背骨あたりが着目されているということです。
例えば、手をあげるような動き。もちろん、手や腕の仕事です。
そんなときですら、頭と背骨の関係性、背骨の状態が動きの機能性を左右するということです。
ほんまかいな!?と思われるかもしれませんが、事実です。
そして、私の経験上のことでもありますし、アレクサンダー・テクニーク教師の多くが言っていることでもありますが、頭と背骨の関係や背骨の状態は身体面だけでなく、心の持ち方、思考(頭の使い方)、存在感、世界の見え方など様々な面に影響します。
そんな風に聞くと、重要な気がしてきませんか。
では、頭と背骨の関係性、背骨の状態がどんな風になっていると良いか簡潔にいうと
☆頭が背骨の上でバランスをとっていること(頭と背骨が良い関係にあること)
☆背骨が圧縮されていないこと
です。
世間でよく、良い姿勢の代表として「頭が背骨の真上に位置している」ことを挙げられていますが、
個人的には「位置」よりは「バランスをとっている」ことを強調したいと思っています。
頭と背骨の位置についてレッスンでもお伝えすることはありますが、それはバランスを取るために知っておくべき情報の一つであるからで、その位置を保ち続ける(固定する)ことが目的ではありません。
ここがポイントです。
ここで多くの人が、頭の理解の上でも、体を通した体験でも、つまづいているように思います。
やじろべえがバランスをとるように背骨の上で頭がバランスをとっている、
仮に空間上動いていないとしても、頭が背骨の上で休んでいる(静止している)ことが大切です。
そして、その頭と背骨が出会う場所がどこにあるかというと、
鼻の後ろ、かつ両耳を結んだ中心あたりにあるということです。
多くの方が、首というと顎先から下にみえる部分(正面から視覚的に見える部分)と認識しており、首の骨(頸椎)の上の部分を忘れがちです。
ですから、まずはバランスをとる位置を正すところから始める必要があります。
ということで、
今日は一つのアイデアとして、頭と背骨が出会う場所を覚えてください。
イラストで示すとこんな感じです。
顎先で動く場合(首の途中で動く場合)と鼻先で動く場合(頭と背骨が出会う場所)を比べながら、高さの違いを実感してみてください。
ちなみに、鼻先で動く場合は小さな動きですので、鼻先から小さくうなづく感じです。
頭でわかっていても、いざ動かしてみると、やっぱり顎の下あたりで動いてしまう、そんな方もおられるかもしれません。
あるいは、やっているつもりでもできていない、二つの違いが感じられない方もおられるかもしれません。
最初は鏡をみて確認しながらやってみるといいかもしれません。
それでもうまくいかないという場合はアレクサンダー・テクニーク教師や動きに精通している人の助けを借りてみてください。
ちなみに、頭と背骨が出会う場所が分かったら頭と背骨の関係が整うわけではありません。
頭と背骨の関係や背骨の状態が整う(アレクサンダー・テクニークでいうところのプライマリー・ムーブメント)ための一つの要素を確認したに過ぎません。
ということで、次のブログでは、頭と背骨の関係をもう少し深めていきたいと思います。
※この記事は、過去にメルマガとして登録者にお送りしたものの一部を抜粋しています。
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